2006.9.1

SLOW TRIP 2006 Vol.09「山寺 シェイド・オブ・サマー」


前回の日曜日、「夏の山寺」へ行きたくなった。

朝 4:30 起床、地下鉄始発 5:37 に乗ろう。

「山寺」へは必ず始発で行くんだ。

仙山線 山形方面始発 6:12

なぜって? 「山寺」の朝の清々しさを独り占め出来るからさ

「五大堂さ行って下界見下ろして来なさい」

一番乗りの僕に掃除の母さんはそう言うのさ

五大堂へ辿り着く

掃除の母さんの言うとおりに

下界を眺めてみる

じっと眺めてみる

30分も眺めてみる

「山寺」の魅力に言葉は要らないのだ。

いつの間にか訪れる人間が多くなってきた。

そうか今日は日曜日だ。

隠れ家みたいな涼しいポイントで掃除の母さんが小休憩していた。

隣に僕はちょこんと腰を下ろして

さっき見下ろしてきた下界について話した。

母さんも僕に話してくれる。

「オレはここが好きなんだぁ」

「山のにおいがたまらなく好きなんだぁ」

「あのときここに嫁いできて本当によかったぁ」

70歳の母さんは、20歳で嫁いできてからの50年間の話しを

僕に聞かせてくれるのさ。

手ぬぐいを巻いた僕の頭の中で彼女の人生が巡った。

それは美しい日本の、美しい心を持った女性の話だった。

下では70歳の母さんも頭の上がらないと言う

90歳の母さんがこの場所を守ってた。

僕はようやく名物の「冷たいラーメン」にありつけた。

「去年、僕のお母さんがここで食べて美味しかったと聞いて以来

楽しみにしていたんですよ」、

店の母さんに去年の母の写真を見せると喜んでくれた。

写真で見たとおりの優しい母さんだった。

アイスコーヒーをご馳走になってしまった。


ギラギラと暑い1日

コントラストの効いた1日


紛れもなく蝉が主役

夏の山寺

 岩にしみ入る間もなく

蝉が生を喜ぶ


「夏の濃淡」

夏の山寺

そうそう「5D」のファースト・インプレッションでもあったんだ。

撮れた写真はどうだい?

KENICHI KIKUCHI "SLOW TRIP 2006 Vol.09"