2007.11.19

2007 SLOW TRIP Vol.036 「大内宿 : メイプル・リバー 」

土曜の深夜2時50分に携帯電話にメールがとどいた

「明日、いや今日休み? 久々にどう?」

スガG (スガジー) さんからだ



2007.11.18

スガG さんは互いに高校生の頃バイトしていた喫茶グリーンアップルの2つ年上の先輩だ。

ホールに出る前に厨房で洗い物を教えてくれた先輩だ。

学校じゃ教えてくれない大切な考えや楽しみを惜しみなくくれた先輩だ。

その2年半ぶりのお誘いに二つ返事をし

すぐさまベッドに入った

翌朝 10時頃 スガGさんは石巻からやってきた。

久々に僕の "R" で長距離ドライブに出ることに決まった。

僕もスガGさんもいくらでも運転し続けられるほどのクルマ好きだ。

「喜多方ラーメン食いたいです」と僕が言い

福島方面へ車を走らせた

国道を行こうとしたらスガGさんに高速道路に乗るよう言われた

「 KEN、時間を買うんだよ 」

似合わないカッコイイセリフの後スガGさんは

いつもの照れ笑いをした

会津若松市内に到着し会津鉄道「七日町駅」付近の古い商店の町並みに見とれながら

空腹を満たしてくれる店を探した。

喜多方ラーメンとは看板には無かったけれど

入り口に「一生懸命営業中」と札があったラーメン屋さんに入った。

醤油味の定番喜多方ラーメンの味がしてこだわり叉焼も美味しかった。

初めて見る鶴ヶ城 を左手にして スガGさんオススメの 重要伝統的建造物保存地区「大内宿」を目指した

あいにくの雨の中紅葉の渓谷を突き進んだ

着いた!

ひゃ〜江戸時代にタイムスリップだね

江戸の時代、関東と会津を結ぶ下野街道の交通の要衝。

宿場、荷駄運送の駅所として栄えていた「大内宿」

明治17年に日光街道が大川沿いに開通した以降、大内宿は時代に取り残された

けれど時代に忘れ去られたことで、奇跡的に残された茅葺き屋根の家並み

そして昭和56年に重要伝統的建造物保存地区に指定された。

樽柿も干してあった

実った柿や栗で作られたようかん

素朴な手作りの品々が売られていた

ひゃ〜いいにおいだなぁ

さっそくスガGさんは名物「まんじゅうの天ぷら」にかじりついていた

これは我慢できないにおいだ!

べったらもちひとつくださーい!

「ハイ、今暖めますからね〜」

味噌だれが想像を超えた美味さだった! 間違いなく今まで食べた中で一番!

雨がね、雪に変わっているわけですよ

初雪です

「今朝つきたてのくさもちです、良かったらどうぞ、、」

恥ずかしそうに謙虚な小さな声をかけてくれた

東北らしいなぁ

柿グッズが多かったな

随分急だなぁ、でもここ登らないと終点じゃないな

よしっ登ろう!

ここからの景色が多分一番いいんだろうな

登って良かった

相変わらずスガGさんは優しい

恥ずかしそうにお願いできずもじもじしてた観光客に

自分から「シャッター押しましょうか?」と話しかけてた

その後は決まって照れ隠しだ

急な石段はガタガタで斜めの段もあっておまけに雪で濡れているし

登ったはいいけど下りるのは相当怖いな

紅葉が残る初雪の江戸時代の光景もいいな

「暖かいお茶飲んでいってください!」

あまりに寒いのでお言葉に甘えた

あったまった!

「よかったらひとつ余ったのでどうぞ、」

と、豆餅を頂いた

好意であるのにも相手に気をつかわせない言葉

東北だなぁ

こちらの地方ではイナゴを食べる文化があるようで佃煮が売られていた

どんどん雪が激しくなってきた

薪を積み重ねた光景を見ると寒さに心細くはならなかった

軒先で美味しそうに「しんごろう」を食べているおばさまがたを見て

スガGさん我慢ならず食らいつく

おろして名物の蕎麦にかける用かな?

山々が雪で見えなくなっちゃった

大丈夫かなぁ?

まだポテンザ履いてるので少々心配になってきた

しかし時間が経つのが早い

時間を買わなかったら今頃真っ暗だったな

鶴ヶ城には寄れそうにないな残念

来る途中で目にした紅葉を堪能してから家路につくことにした

今は使っていない鉄橋の上まで歩くと

紅葉のピークは過ぎたろうけれど

それは十分に美しかった

渓流があってなんとも言えない荘厳さに打たれた

川の色がエメラルドグリーンで

紅葉や楓の落葉が川を流れていった

まるで筆についた橙色の絵の具を

水で溶いたように模様をつくりゆっくりと流れいった

味わい深い光景だった




「Autamn leaves」

2005年11月7日作詞 菊池健一
 

一番早く色づくもの
赤く妖艶なもの
ひっそり枯れゆくもの
まだ青々した若いもの

強い風に吹かれても平気なもの
そよ風に散ってしまうもの
隣に重なり寄りかかるもの
誰かに喰われてしまうもの

 Autamn leaves
 僕らの縮図を見る
 Autamn leaves
 誰もが自動的に変化するわけじゃない
 Autamn leaves
 それまでの生き方が表情を作るんだ

一晩で一気に染まるもの
半分だけ染まるもの
仲間との別れを惜しみ泣くもの
川面に浮かび旅に出るもの

初めから覚悟が出来てるもの
これから覚悟をきめてくもの
今までの役目を反省するもの
今までの役目に胸をはるもの

 Autamn leaves
 僕らの縮図を見る
 Autamn leaves
 誰もが来る時が来れば変わるわけじゃない
 Autamn leaves
 それまでの生き方が表情を作るんだ



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近くには火事で焦げた宿の廃墟があり荒れたプールもあった

夜は怖そうだ

あまりの寒さに僕らは縮こまって歩いた

久々の遠出ですこぶる機嫌のいいRB26DETTエンジン

新型GT-R? 興味ないね! (嘘)

吹雪と化した東北自動車道を積もる前に走り抜け、泉インターチェンジで下りた。

夕食は富谷町のハンバーグ屋さん「オニオン」で

700グラムのハンバーグを食らった! ギャフン!

スガGさんと遊ぶときは朝から晩までフルに使い切るから楽しいんだ

そして何気ない笑い話のすき間に

お互い大人になってしまった現実、

そしてあの時に確信した正義感や道徳観が散りばめられているのか

気付いたら初心に戻っている。

当時のバイト先「喫茶グリーンアップル」で一緒に働いた仲間は

兄弟だ。

多感で反発もあるけれど影響も受けやすいあの時期に

あの仲間たちに出会えて本当に良かった。


それから僕の部屋で少しゆっくりしてからまたスガGさんは帰って行った。

「すぐまた連絡するよ」と言っても

次にやってくるのはまた数年先のことだろう

だから手をふって帰って行った

僕の大好きなあの照れ笑いをしながら。


KENICHI KIKUCHI "2007 SLOW TRIP Vol.036"