2007.1.14

2007 SLOW TRIP Vol.02 「故郷 : マイ・シティ・オブ・ルインズ」


実家の庭にある年季の入った小鳥ハウスには

今朝もスズメたちがたくさんやって来てた。

人の中に暮らす彼らなのに警戒心が強い

毎日パンくずを与えてるお父さんの肩にも止まらない。

それどころか家の中で立ち上がり窓際へ行こうとしただけで飛び立つ

2007.1.2

「チュンチュンチュンチュン」

たしかにいつもありがとうって言ってくれてるようだけれど

満たされたお腹

木の枝で休憩した後飛び立って行く。

それが合図かのように僕も

「さぁ、そろそろいつもの住処へ帰るとするか」


ダチの Jeep が迎えに来てくれた

高速道路が「本別」まで知らないうちに伸びてた。

本別までの途中「上茶路」あたりで

懐かしいボディカラーの廃バスを見つけた。 

幼い頃、釧路市内を走ってた路線バスのカラー

「東邦交通」じゃなく「くしろバス」に変更された後の車体だったけれど。

懐かしい

街の喫茶店でアルバイトした帰りに毎日最終便に乗ったっけ

錆び付いたボディを眺めてたらさっきまでいた故郷の

駅前を思い出した

北大通りを思い出した

南大通りを思い出した


俺達の街、気がついたら錆だらけ
シャッターを下ろした店、錆だらけ
出港しない船、錆だらけ

あんなに子供達で溢れた白樺台
今は年寄りがひっそり歩くだけ
俺達の街、いったいどうしたんだい?

かわいいあのコが歩いてた北大通りは何処へ行った?
国道を閉鎖して行う港祭りは?

俺達の街、気がついたら錆だらけ
バンドの練習スタジオ錆だらけ
札幌(都会)から離れた俺達の街錆だらけ

石炭も採れない
魚も捕れない
俺達の街どこへ行く

美しい湿原の端をつぶした郊外に
大型ストアが建ち並び
誰もがエンジンをかけてそこへ向かう

トタンの屋根錆だらけ
製紙工場の煙もくもく
蓮の葉氷の釧路川
俺達の街よ


たくさんの人々を運んだ路線バスの行く末

農家の物置として錆を増やしてく

札幌方面へ行くには「日勝峠」を越えなければならない

でも本当に過酷なのはその後の

「夕張樹海ロード」

雪が吹き荒れることもなく

美しい樹氷を眺める余裕さえある帰り道

ダチの子、凌大と遊んでいると楽しくて

6時間なんてすぐさ。

凌大のジーンズが破けてて

「KENちゃんみたいでしょ?」

って言って喜んでたと聞いて笑った

ダチの新居で一泊して翌日千歳まで送ってもらった。

札幌市内は3年振りなんだなぁ

TV塔も3年振りか

駅前通も3年振り

新千歳空港から飛び立ち仙台へ向かう。

飛行機の上から眺めるのが一番感動的な

日本三景「松島」が視界入ってくると

もうすぐ仙台空港だ

着陸のアナウンスが流れると

また故郷が懐かしなってしまう

また友達に会いたくなってしまう

あの錆びついた街へ弱音をはきそうになる。

ガンバレ俺!

KENICHI KIKUCHI "2007 SLOW TRIP Vol.02"