2006年1月29日撮影  2006年1月29日作詞

冬の山寺



お寺の真っ黒い大きな犬が
上を見上げて吠えている
山門櫓に登った
野良猫に吠えてる

雪に隠れた石段

冬に包まれた姥堂
四寸道で、もう息がきれ
その先の蝉塚で「静」を読む

今日ここにいる人達は修行僧
わたしもあなたも越えたい何かを抱えてる

わたしが登るとき誰かが下ります
わたしが下るとき登る誰かに声をかけます
あぁ山寺よ、氷柱の先から春がやってくる
あぁ山寺よ、無言でわたしにそれを見せる

一際急な斜面の上
仁王門で一休み
百丈岩の向こう側
雪に埋もれた山形の民家が広がる

性相院に金乗院
中性院に奥の院そして大仏殿
たとえ冬に行けるのがここまででも
わたしもあなたもこうして登り遂げました

村の人が貸してくれた
縄草履と杖のありがたさがこみ上げる

 わたしが登るとき誰かが下ります
 わたしが下るとき登る誰かに声をかけます
 あぁ山寺よ、赤いナナカマドよ新緑の笹の葉よ
 あぁ山寺よ、無言でわたしにそれを見せる

宝珠橋の橙の手すりから
春になれば香魚が泳ぐ川を見つめ
芭蕉の如くわびさびを浮かべ
また仙山線から浮き世へ戻り行く

わたしたちはこの世の修行僧
わたしもあなたも越えたい何かを抱えてる

 わたしが登るとき誰かが下ります
 わたしが下るとき登る誰かに声をかけます
 あぁ山寺よ、氷柱の先から春がやってくる
 あぁ山寺よ、無言でわたしにそれを見せる

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